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コラム

「民鉄がカジノ?」

京浜急行電鉄(9006)がカジノへの進出を本格検討しているが、本末転倒ではないか。鉄道業の本分は沿線交通の安全性と利便性の向上であり、そのために国交省の認可制の下に保護されている。また京急はデフレが続いていたにもかかわらず運賃を引き下げず、かついまだに痴漢を醸成する満員電車を改善しない一方で、沿線とはあまり関係のないホテル、スーパーや葬儀場の経営にもいそしんでいる。資本主義経済下の民間会社だから儲かるのであれば何をしても良いというのであれば、その代わりに地域の交通網の独占性は排除し、認可業種の特権もはく奪すべきであろう。
 資本主義経済における政府系企業や認可業種のあり方についてはさまざまな議論があるが、それらの企業の多くが円高進行やデフレの長期化にもかかわらず、運賃やサービス価格を引き下げてこなかったことが今の日本経済低迷の一因でもある。価格競争にさらされやすい非認可企業は、必死の合理化をして生き延びてきているが、独占的な認可企業にはそうした危機意識は薄く、これが日本経済全体の高コスト化と競争力の著しい低下につながっている。
 振り返って、認可・独占企業である民鉄が異業種に参入する場合の常識的な前提としては、万年赤字路線の救済、地域の利便性向上、参入業種の収益による運賃の引き下げやサービス向上などが挙げられる。しかし、京急は黒字企業であり、カジノが地域の利便性向上に資するとは考えにくい。ましてや、ROE向上の意識はあろうが、値下げという発想はどこにもないと思うが、いかがだろうか。 (金融ファクシミリ新聞より転載)