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コラム

「本質分からぬ減税策」

 法人税を段階的に引き下げることが政府内で検討されているが、これは国家間の税の引き下げ競争という本質を理解していない不毛の議論である。ただでさえ遅れている法人税の軽減が先延ばされて喜ぶのは中国やシンガポールなどの諸外国であり、その間に日本企業に対する新たな優遇策も用意してこよう。その結果、法人税20%台でも日本企業は日本に戻らず、税収がむしろ悪化することさえ考えられる。
 今の企業の海外シフトは円高放置に加え財務省が、東アジア各国が日本企業を誘致するために採っている作戦を軽く見続けた結果である。また、ひとたび海外移転した工場を再び日本に戻すには相当な魅力が必要であるうえ、シンガポールなどは既に新たな日本企業優遇策を採り始めている。このため、段階的な法人税引き下げという生ぬるい減税ではとても太刀打ちはできず、その分、東アジア各国がほくそ笑んでいることは間違いない。
 東アジア各国をめぐっていると、「日本は国民と企業は一流だが政治は三流」とよく言われる。その評価は今回の段階的な法人税減税では覆りそうもない。「財源がないのに減税はできない」という財務省の主張はもっともだが、お客様が他社へと逃げていったら身を切ってでも値下げをしたりサービスを向上しなければいけないのは資本主義経済の原則だ。せめて「政治は二流ぐらいにはなった」と言われるよう、経済特区での早期20%台を期待したい。(金融ファクシミリ新聞より転載)